株式会社 航和

雫石町の企業紹介

株式会社 航和 代表取締役 佐々木 航

ご存じだろうか。国から注目を浴びている介護施設が雫石町にはある。接骨院から始まった介護サービス事業者の(株)航和だ。年々増え続ける介護サービスの利用者。雫石町で奮闘している佐々木社長が考える、介護の未来について語って頂いた。

Uターン

始めた当初は大変でした。

 佐々木社長は東京で働いていたが、雫石町で接骨院を営んでいた父親が、体の不調を理由に引退せざると得ない状態になった際、彼が雫石に戻ってきて接骨院を引き継いだ。兄弟から勧められたことや、故郷の雫石が好きな自分が家業を引き継ぐことにためらいはなかった。そして介護事業に参入したのが2007年。ケアマネージャーの母親と共に事業を立ち上げた。
 佐々木社長が当時の事を振り返る。「当時は宅老所と言っていました。接骨院をやりながらデイサービスを母と共に始めました。経営は楽ではありませんでした。お金についても人を集めるのにも大変苦労しました。ただ困っている人を助ける会社をやっていると、いろんなチャンスに恵まれます」。うまく融資を得られた。人も紹介して頂いた。悪いことをしていなければなんとかなる。佐々木社長はそう言って笑って答えた。

引き継いだ母の思い

困っている人を助けたい

 「母は常に私に言っていました、困った人は助けなさい」。この言葉は今も彼の頭の中にあり、介護サービスを行う上で一つの指針となっていると佐々木社長は言う。最初はデイサービスだけだったのが、利用者の声を聞いた母からの“何とかしてあげたい”という言葉は忘れられないと言う。

利用者の声

たくさんの人に喜ばれるようになった

 利用者との接点や関係が大きくなるにつれて、家族の方達から切実な要望を聞くようになる。「泊まるところが欲しい、家では面倒を見ることができない」。自分たちで何かできないか。その問いに答えるように介護ビジネスを始めた。するとたくさんの人に喜ばれるようになった。今では有料老人ホーム、サービス付高齢者住宅、訪問介護事業所、居宅介護支援事業所、定期巡回随時対応型訪問介護、そしてデイサービスと接骨院。拠点も雫石と盛岡の中央通り、そして津志田にも作った。加えて障害者就労支援事業所を営む社会福祉法人結和会を2016年に立ち上げた佐々木社長。勢いは止まらなかった。

感謝の言葉は私たちの力になっています

 忙しいけれど、利用者の言葉に励まされると佐々木社長は言う。
 接骨院では「治りました。ありがとうございました」。介護の場合は、亡くなって施設から出てくるときや病院に移る際に利用者のご家族から、「この施設で良くしてもらった、ありがとうございました」という感謝の言葉を頂く。
 ある利用者のお話。お互いが認知症のご夫婦。娘さんから「認知症になる前はお父さんもお母さんも喧嘩ばかりしていた。今はいい夫婦に戻った」。七夕の短冊の願い事に“この人とずっと一緒にいられますように”と書かれた話を聞いたときは目が潤んだという。

 「利用者からの感謝の言葉は、私だけでなくスタッフの大きな力になっています。」

デジタルトランスフォーム

スタッフから教えられました

 きっかけはスタッフから教えられたある一言だという。「社長、実はですね、介護は大変じゃないんですよ、介護が終わった後の記録業務が大変なんです」。目からうろこだった。離職などで問題を抱えていた佐々木社長は、介護という仕事が大変なのは、汚い、きつい、給料安い、と称される仕事だからだと思っていたからだ。介護サービスに従事するスタッフは人のケアをすることは苦痛に感じない。それならパソコンを使った書類の作成や整理はどうだろう。これなら自分の裁量で実現できる。そう考えた後、実行に移すのは早かった。早速タブレットPCを用意して、誰でも使えるようにした。今では誰もが使うようになり、業務が簡略化され、スタッフは今までよりも利用者と接する時間が増えている。

 テクノロジーの力を使って、介護の業務負担を軽減させたい。この考え方は今の佐々木社長の大きなモチベーションになっている。先日もベンチャー企業を立ち上げ、介護タクシーの配車サービスアプリの開発をスタートしたばかり。小さいが東京六本木にオフィスを構えてヤル気満々だ。
 「Uberのようなイメージを持っています。需要と供給をマッチさせる。免許や金額などハードルはいくつもあるけれど、困っている利用者がいるのを知っているから、絶対にやりたいと思っています」。

介護×テクノロジー

テクノロジーしかない

 「私は介護の未来について、スタッフにいつもこう言っています。今は人が足りない、きつい。でもテクノロジーの力を使って介護業務の負担を軽減させる。それによってスタッフが効率よく働ける。これが創りたい未来。業界を全部変えていきたい」。合理性を大事にしている印象を受ける。

 「この国の介護の業界は今のままでは変わらないと思う。人が足りない。40万人不足。外国人労働者を以てしても難しい。テクノロジーしかない」。

スマートシティも夢じゃない

 雫石町の町づくり会社の取締役も兼ねる佐々木社長。その経験から、労働介護の問題を解決するのは行政だけでは難しいと言う。「まずは民間が初めて実績を得られれば、後は行政が付いてきてくれる。だって得意だから(笑)」。
 施設の家電製品はスマート化されている。いわゆるIoTだ。今後は施設全体のIoT化を進めてスマート介護とし、病院への情報提供も視野に入れている。「もっと拡大して、スマートシティを実現することも可能ですよ」と佐々木社長は言う。

スタッフ募集中

 現在㈱航和では、夜勤もできるスタッフを7人募集中だ。スタッフは自社雇用にしたいと言う。セールスポイントは住む場所が提供できることだ。「雫石に移住したい人はアパートを提供できる。盛岡になるが温泉付きのマンションも貸し出せる。つなぎ温泉の一角でリゾートマンションだ。「私は利用者の事を第一に考えるが、その次は従業員のことを考えています。愛する家族はその次ですね(笑)」。

 介護福祉とテクノロジーを合わせることを考えている会社が雫石にはある。今後も止まることのない介護ビジネス。その最先端がここにあるのかもしれない。

企業情報

会社:株式会社 航和
所在地:岩手県岩手郡雫石町柿木5−4

現在従業員を募集中。
連絡先:019-692-3669
ホームページ:https://www.kouwa.iwate.jp/

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